神奈川県在住の金島詩さん(30=仮名)は、20歳~26歳の約7年間低用量ピルを服用し続け、27歳で第1子を出産しました。服用を始めた2014年当時は大学生で、現在ほどピルが普及していなかったといいます。ピルとともに20代を過ごしてきた金島さんに、体験談や今思うことを伺いました。(取材:みらい編集長)
3歳の娘を育てる金島さん(画像はイメージです)
生理痛と生理不順、20歳で始めたピルケア
私は都内の企業に勤めており、3歳の娘と夫、その両親、そして愛犬と暮らしています。今はピルを服用していませんが、また飲みたいと思っているくらい、私の身体には合っていましたよ!
ピルを飲み始めたのは2014年、20歳くらいのときです。もともと生理不順で、生理周期はだいたい25日~37日とバラつきがありました。生理痛もそれなりにあって、痛み止めを飲めば治るのですが、常に持ち歩いていたわけではなかったので、「買いに行かなきゃ・・・」と思うのがいつもストレスでした。
どうにかしたいと思ってインターネットで検索したときに、ピルを飲むという選択肢があることを知りました。当時の私にとっては、「ピル=緊急避妊薬」というイメージでした。低用量ピルの存在は初めて知りましたが、調べてみるとアスリートの方も使っていることが分かり、「そんな解決策があるのか!」と驚きました。
10年も前のことですから、現在のようなピルのオンライン処方サービスはありませんでした。インターネットでクリニックを探しましたが、自宅付近にはあまりいいと思えるところがなかったので、学校からの帰り道にある評判のいいクリニックを選びました。
話を聞いてくださったのは30代くらいの女医さんで、ピルに対して肯定的でした。副作用についても説明を受けましたが、どんな内容だったかまでは覚えていません。内診などはなく、そちらでは低用量ピル「アンジュ」を処方していただきました。子宮内膜症などの診断は付かなかったので、保険適用ではなかったと思います。
予定に合わせて生理をコントロールできるメリットも
ピルを飲み始めて1週間~2週間くらいは、「なんとなく気持ち悪い・・・副作用かな?」と思っていたのですが、飲み慣れてくるとすぐになくなりました。それより、生理痛がなくなったことが嬉しかったです!
最初の3ヶ月くらいは、毎月クリニックに通って診察とピル1シートの処方を受けていました。ただ、そちらは評判がいいだけあって患者さんも多かったのでしょう、待ち時間があまりにも長かったんです(笑)。時間がもったいないなあと思い、他の病院に移りました。新しい病院では「アンジュ」の取り扱いがなかったため、ピルの種類を「トリキュラー」に変更しました。
ピルを飲んでいる間は、本当に良かったです!生理痛はなくなるし、経血量は減るし、旅行に生理が被らないようコントロールできたのもありがたかったです。最初のうちは医師に相談して生理をずらしていましたが、仕組みを理解してからは、自分の判断でプラセボを飛ばしてコントロールしていました。
飲み忘れはしょっちゅうありました(笑)。私は毎日寝る前に服用していたのですが、飲み会で盛り上がりすぎてそのまま寝てしまい、朝になってあたふた・・・という感じです。丸一日飲み忘れたこともあったような気がしますが、10年も前のことなので、どうなったかは覚えていません。
ピルを飲んでいることは、最初のうちはあまり周囲に話していませんでした。隠していたわけではなく、きっかけがなかったからです。大学4年生くらいになると飲み始める友人が出てきたため、その頃からは自然と話すようになりました。私の周りでは、社会人になってから始めた子が多かったですね。
ピルケアを中断して4ヶ月で妊娠、出産を経て再開を検討中
26歳でピルの服用を中止したのは、妊娠を望んだためです。ピルをやめてから4ヶ月ほどで妊娠しました。長年ピルを飲んでいたので、「本当に妊娠できるかな?」という不安がなかったわけではありません。ピルによる悪影響がないことは理解していたものの、インターネットで検索すると、嘘も真実もいろんな情報が出てきますからね。
ピルを服用している間は気付かなかったのですが、最近は生理前にイライラするのを感じています。自分でも気付かないうちに、ピルでイライラを抑えられていたんだな、と実感しています。
出産後はピルを服用していませんが、また再開しようかと考えているくらい、ピルに対する総合的な満足度は高かったです!生理痛がなく、生理のタイミングが読めるというだけで、日常のストレスが半減します。避妊という側面でも、女性にとっては安心材料になりますよね。
生理痛やPMSに悩んでいる方には、ぜひピルを試してほしいと思います。毎日決まった時間に服用することに不安を感じる方もいるかと思いますが、今は飲み忘れ防止のアプリで通知が届きますし、難しいことではありません。クリニックに行かなくても、オンライン処方で手軽に入手できることもありがたいですよね。ただ、もう少し価格が下がると嬉しいです。
私は対面式のクリニックで診察を受けましたが、子宮頸がんなどの定期検診を受けるきっかけにもなりました。若いときほど、検診のためだけにクリニックへ行かないですからね。オンライン診療で利便性が増した反面、こうした機会が失われているのかもしれないと思うと、少しもったいないようにも感じます。今後このあたりのサービスも改良されるといいなと思っています。
【Profile】金島詩(仮名)
都内の企業に勤める1児の母。生理痛と月経不順の緩和のため、20歳~26歳の約7年間低用量ピルを服用して、27歳で出産した。現在ピルの再開を検討中。
取材後記(みらい編集長)
学生時代からピルケアを続けてきた、ヘルスリテラシーの高い金島さん。当時は今ほどピルが普及していなかったと思いますが、よく情報を精査して、ご自身の手で快適な毎日を手に入れたことは、とても素晴らしいことだと思いました。
ピルに対する偏見は減っているとはいえ、漠然とした不安を抱いている方もいることと思います。そうしたとき、「ピルを飲んでも不妊にならない」という知識だけを持っているより、「ピルをやめて4ヶ月ほどで妊娠した」という体験談を知るほうが、安心できますよね。金島さんのようなエピソードを、たくさん発信していきたいと思いました。
クリニックに通うことが定期検診受診のきっかけになる、というのも興味深いお話でした。オンラインでピル処方を受けている方も検診を受けやすくなるような仕組みがあるといいなと思いました。
金島さんピル服用の実体験、とても参考になりました。これからは、オンライン診療と対面診療をうまく組み合わせられたらいいと思いますが、やっぱり最初は対面が安心な気がします。
娘が2人います。
私の時代はピルケアをしてる人など、ほぼ皆無でした。
ピルケアは妊娠に悪影響がないと一般論として聞きますが、正直不安がありました。
金島さんの実体験は、娘を心配する親世代としてはこの上ない安心となりました。
娘にピルケア薦めてみようかな...