【20代・まつりさんからの質問】
月経困難症と診断されたら、ピルは保険適用になると聞きましたが、それは何か基準があるのでしょうか。診察する医師によって判断が異なるのであれば、病院の変更を検討しています。
【ドクターの見解】
熱っぽいときは体温を測れば熱があるか分かりますが、月経時の痛みや気分の落ち込みは測定できません。そのため自覚症状が主な診断の根拠になっており、医師によって判断が異なる可能性はあります。
子宮筋腫や子宮内膜症があると「器質性月経困難症」という病名が付きますが、そうした病変がない「機能性月経困難症」も保険適応になっているのは、「痛いことはよくないことだ」という考えに基づくものです。例えば「頭が痛い」という症状に対しても、病名が付いて、保険適用のお薬が処方されますよね。同じように、月経がつらい方は堂々と「痛い」と言って、お薬を処方してもらってください。「これくらいだと痛いうちに入らないのかな?」などと遠慮する必要はありません。
保険適用のピルを処方する場合、避妊目的の自費ピルとは異なり、内診などの検査を必須としているクリニックもあります。そのあたりは個別にクリニックへお問い合わせください。
ここからは、少し話が変わります。
糖尿病は、全く自覚症状がなくても、ある一定の基準を越えたら保険適用でお薬が処方されます。なぜかというと、糖尿病の3大合併症と呼ばれる「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」を発症した場合に、それを治すことが困難だからです。そのため、症状が出ないうちから治療を開始するのです。
月経においても、同様の考えができます。月経があること自体が「子宮内膜症」「子宮筋腫」「チョコレート嚢胞」引いては「子宮体がん」「卵巣がん」などの病気につながるため、自覚症状のないうちからピルで排卵を止めることは有効だと考えられます。後々の病気のリスクを考えると、ピルを内服するほうがかえって医療費は安く済むとも思います。
上記のような理由から、私は「妊娠を望むとき以外、月経は必要ない」という考えのもと診察を行っています。少し過激な表現になりますが、「月経」は「月経病」くらいに捉えていただいても構わないと思っています。月経についてお悩みのない方も、将来起こりうる病気の予防のため、ぜひピルの内服をご検討ください。
「月経病として捉える」という考え方は、月経痛に悩みながらも我慢してきた私のような大多数の女性にとって救いの声です。
女性は娘を出産した瞬間に、娘が負うであろう長い生理痛を不憫に思ったことを忘れられません。