【10代・バレー部さんからの質問】
「生理前は靱帯が緩みやすくなる」というのは本当ですか。何か対策はあるのでしょうか。
【ドクターの見解】
月経前は黄体ホルモンの分泌が増えますが、同時に靭帯が緩むリラキシン(リラックスから来ている名前と思われます)というホルモンの分泌も増えると言われています。
リラキシンは、出産をしやすくするために分泌されるホルモンです。「骨盤の靱帯を緩めて、赤ちゃんの頭を通りやすくする」という働きがあります。実際に出産後は、骨盤の緩みで片脚立ちができなくなったり、恥骨結合離開(出産のために開いた恥骨が元に戻らない状態)などが起こるので、「生理前は靱帯が緩みやすくなる」というのも本当かもしれません。
しかしながら、実際の妊娠・出産時に分泌される黄体ホルモンの量は、月経前(黄体期)の数倍に及びます。出産時に起こることがそのまま黄体期に当てはまるかは、疑問が残るところです。確かに緩む人もいらっしゃると思います。それは否定しません。
月経前に靱帯が緩む他の原因として、鉄不足も考えられます。靱帯はコラーゲンでできていますが、鉄が不足すると、コラーゲン分子を束ねる酵素がうまく働かなくなるからです。スポーツ医学では「糖質摂取が不足すると鉄の吸収が悪くなる」と言われているので、糖質不足によって鉄欠乏が生じている方は、靱帯が緩みやすいのではないかと考えています(これは私見です)。糖質摂取量を増やして、サプリなどで鉄を補充することで、靱帯損傷の予防や対策ができる可能性があると考えています。
もちろん、低用量ピルの内服で黄体ホルモンレベルを一定にすることも、有効な対策だと思います。
娘がスポーツをしているのですが、前十字靭帯を損傷したことがあり、再受傷しないためにどうしたら良いのか親として悩んでいました。
今後はしっかり鉄分を補充できるよう、毎食心がけたいと思います。