長野県在住で、測量関係の仕事に従事する佐原花奈さん(20代後半・仮名)は、4年前まで生理前の異常な食欲やだるさなどの「PMS(月経前症候群)」に悩まされていました。偶然テレビで見かけた低用量ピル特集でその存在を知り、すぐに婦人科を受診したという佐原さん。実際に服用を始めると、食欲やだるさは見事に落ち着き、ジムに通うようになったこともあって30㎏の減量に成功したそうです。超低用量ピルの「ヤーズ」「ヤーズフレックス」、ホルモン剤の「ジエノゲスト」と3種類の薬を服用してきた佐原さんに、この4年間の変化を伺いました。(取材:みらい編集長)
仕事中の佐原さん
(画像はイメージです)
◆3~4人前じゃ足りない、数日起き上がれない…酷すぎたPMS
私が低用量ピルに出会ったのは、4年ほど前のことです。テレビで「ピルを飲んで生理の悩みが解消された」という方が特集されているのを見て、初めてピルの存在を知りました。当時は心身の不調で仕事を辞めた頃でしたが、生理は悩みのひとつでもありました。
中学生の頃から生理痛とむくみに苦しんできましたが、20歳を過ぎた頃からは異常な食欲、だるさや眠気、そして精神不安定と、PMS(月経前症候群)の症状が悪化していました。とりわけ酷かったのは食欲で、生理前になると食べること以外なにも考えられないほどでした。3~4人前食べても足りなくて、麻婆豆腐2人前、ステーキ300グラム、ご飯をどんぶり2杯分食べたときも、「まだ食べたい」と思ったくらいです。だるさや眠気は低気圧の日に悪化する傾向があり、梅雨の時期ともなると数日起き上がれないこともありました。こうした理由から、だんだんと精神が不安定になっていったのだと思います。
ピルの存在を知って、すぐに地元の婦人科クリニックを予約しました。母から評判のいいクリニックだと聞いたのに加えて、友人から「あのクリニックはピルを飲めと言ってくる!と母が怒っていた」と聞いた記憶があったのです。私の場合はむしろピルを飲んでみたかったので、ちょうどいいと思いました。
そんな前評判通り、クリニックではピル処方の方向でサクサクと話が進みました。まずは試してみましょうと言われて、超低用量ピル「ヤーズ」を処方していただきました。
◆ピルケアで不調を改善!活力を取り戻して30㎏の減量にも成功
ピルの服用を始めて2ヶ月目くらいから、PMSは格段に改善しました!異常なほどの食欲はもちろん、だるさや眠気も落ち着いて、活動がしやすくなりました。生理自体も軽くなり、痛み止めを飲まなくても動ける程度になりました。
ちょうどこの頃から、パーソナルジムに通って本格的なダイエットを始めました。ピルで生理前の食欲が落ち着いたこともあり、体重はマックスから30㎏ほど減少しました。だるさがなくなったぶん、動くことが苦痛ではなくなったのも影響したかもしれないですね。
「ヤーズ」は生理を28日周期に整えてくれるものです。大きな生理不順はなかったとはいえ、いつ生理が来るか分からない不安から解放されたことも嬉しかったですね。毎日同じ時間に服用しなければならない点だけが、少し面倒でした。
◆ジエノゲストに切り替えて、さらに快適な生活へ
1年間くらい「ヤーズ」を服用していましたが、2年ほど前、コロナ禍の余波で「ヤーズ」の在庫がなくなったことがありました。そのため「ヤーズフレックス」という連続服用タイプ(最長120日間続けて服用できるもの)に切り替えたのですが、なぜかPMSの症状が悪化してしまいました。そこで今度は、ピルとは異なるホルモン剤の「ジエノゲスト」というお薬を飲んでみることになりました。
通常、ピルには2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が入っていますが、ジエノゲストには1種類のみ(プロゲステロン)しか入っていないそうです。ピルとの大きな違いは、1日2回飲まなくてはならないことと、休薬期間がないため生理が完全に来なくなることです。
ジエノゲストを飲み始めてからは、生理による体調変化の波がゼロになりました。結果論ですが、私にはヤーズよりジエノゲストのほうが合っていました!いくら軽くなるとはいえ、生理やPMSがあること自体ストレスになります。ジエノゲストに切り替えてからは生理もPMSもなくなったので、本当に楽だなと感じます。
ただ、生理が全くないとそれはそれで不安になります。私は医師と相談をして、現場仕事の少ない冬期に1週間ほど休薬期間を設けています(休薬しなくても問題はないそうです)。薬をやめてから何日で生理が来るのかは分からないので、「この日に生理が来る」という安心感では、ヤーズのほうが上でしたね。
◆「生理だから仕方ない」と思わず、迷ったら病院へ!
ジエノゲストは保険適用のお薬なので、最大3ヶ月分しか処方していただけません。そのため、現在も3~4ヶ月に一度はクリニックに通っています。年1回の血液検査も受けていますが、健康診断の結果を持って行けばそれでもいいそうです。
学生時代から社会人1年目までの私は、体調不良のときも「生理(もしくは生理前)だから仕方ない」と考えていました。でもそれは、決して「仕方ない」ことではありません。「体調が悪い」という事実があるならば、それが生理によるものであろうと、医師に相談していいのです。当時の私のように、生理に伴う不調で悩んでいる方には、ぜひ病院へ行っていただきたいと思っています。
ピルの効果は「お値段以上」ですね!